「スマートアイランド構想」五島のテクノロジー2022

朝ドラ「舞い上がれ!」の舞台として注目を集める五島列島。個人的には、スマートアイランド構想を掲げる五島のテクノロジーも気になりすぎるので、2022年の最新動向を備忘としてまとめました。

 

スマートアイランド構想とは

五島市は、2030年頃の「スマートアイランドとしての望ましい未来」を目指すため、「五島スマートアイランド構想」を策定し、構想に基づいた各種実証事業を行っています。(引用:五島市サイト

日本では国土交通省が離島振興を目的として、2019年よりスマートアイランドに関する取り組みを進めています。

五島市は、初年度よりニーズを提案を行い、2020年度と2021年度の2年連続で「スマートアイランド推進実証事業」に採択されるなど、積極的に活動しています。

離島振興の背景

2017年に「離島振興法」が制定されました。目的は、後進性の排除や島民生活の向上で、背景には離島における著しい人口減少や、尖閣諸島問題をはじめとする社会情勢があります。

日本は、6,800もの離島がある島国。離島は、世界第6位の面積を誇る、経済的排他的水域の拠点としても重要な役割を担っているのです。

 

「スマートアイランド推進実証調査」に採択された五島市の事業

2020年度、2021年度、採択された事業の概要です。

2020年度①遠隔診療×ドローンによる医薬品配送

初めて五島を訪れたのがこの実証のご取材でした。

ANA子会社のアバターイン社のアバターロボットを使って、二次離島にいる患者がいつもの医師のオンライン診療を受けて、処方された医薬品をドローンが配送するというもの。

2020年度②スマート水道メーター事業

省電力通信網(PLWA)を使って、水道検針自動化を図り、水道メーター検針業務を自動検針に切り替えて、業務を効率化。なおかつ漏水検知アラートや、使用量監視による住民の見守りサービスを行うというもの。

2020年度③エネルギーマネジメントシステムによる電力需給の可視化

洋上風力発電などの地域資源を活用するエネルギーの地産地消を目指して、エネルギーマネジメントシステムで島内エネルギー需要を可視化し、また非常時の電力供給主体となるEV車両の普及促進実証も併せて行うというもの。

2021年度①移動通信基地局を運用するPLWA通信の活用

五島市の二次離島には、通信インフラが未整備(いわゆる後進性)な場所も多いが、本島と二次離島を行き来する定期船などにPLWA基地局を設置して、二次離島内の見守りサービスなどを行うというもの。

2021年度②高速通信網を活用したオンラインセリ市の実施

五島牛ブランドは全国的にも有名だが、五島市までの交通(船・航空)が天候に左右されるため、島外の購買者がセリ市に参加できないことがあるため、リモートで参加できるオンラインでセリ市を開催しようというもの。

特にドローンの取り組みは加速

地域おこし協力隊で五島に来られて、行政側からドローン活用を推進したのち、五島市で起業された「そらや」さんの存在が大きそうですが、五島市におけるドローンを活用した取り組みは加速しています。詳しくご取材させていただきたいと思っています。

そのような素地が整っていたからこそ、2022年4月に豊田通商さんが子会社「そらいいな」を設立して、アフリカでドローンによる血液輸送の実績豊富なZiplineの技術を用いて、五島市でドローンの医薬品配送サービスを開始できたのでしょう。

 

再生可能エネルギー「ゼロカーボンシティへ」

五島市は、「ゼロカーボンシティ」を掲げて、再生可能エネルギー推進の取り組みにも力を入れています。

洋上風力発電のいま

洋上風力発電では、すでに、浮体式洋上風力発電が沖合で稼働しています。

2022年4月には、「五島フローティングウィンドファーム合同会社」が、促進区域での公募占用計画が、国内で初めて国から認定を受けたそうです。

今後数年で8基建設予定と、この前ちらっと聞きました。二次離島も含めて、島内の電力需要をどれくらいカバーできるのか、今後の展開が楽しみです。

潮流発電のいま

潮流発電では、環境省「潮流発電技術実用化推進事業」において、日本で初めて大型発電機の実証を行い、2021年6月には日本初となる「500kWの潮流発電機」が国の審査に合格したとのことです。

 

洋上風力も潮流発も、水中に構造物を建設し、定期的に点検しなければなりませんが、人間があまり無理なく潜れるのは水深10〜20mと(最大40m)ですから、ロボットの力が必ず必要です。

発電した電力を陸まで送電するためのケーブルも海底に設置されますが、洋上風力発電施設において最も故障が多いのはこの海底ケーブルとの話も聞きますので、やはり水中ドローンの活用は必須と思われます。

今年はこうしたニーズに対応する技術開発も進みそうなので、やはり五島からは目が離せないと思う次第です。

 

このほかにも、漁業におけるテクノロジーの活用や、五島の名産である「椿」をうまく活用した食費や野菜ブランドが生まれている点も、めちゃめちゃ興味深い。

 

こうした循環型商品が、ドローン物流や再エネなど最先端技術の活用と同時多発的に地域から生まれているのも、五島の魅力だなと思います。

 

次は、子連れワーケーションで五島を訪れたいと思っていますが、子連れで行くと取材がしづらいという悩みも…。取材要員として育成しようかしら(笑)

 

2022年度の五島市におけるテクノロジー最新動向があったら、随時更新します。