生成AI、早く使って早く慣れろ〜KDDI SUMMIT 高橋社長の講演を聴いて

2024年9月3日、虎ノ門ヒルズフォーラム(東京都港区)で開催された「KDDI SUMMIT 2024」に取材で行く機会があり、最新トレンドに触れておこうと高橋社長の基調講演も視聴してきたので、印象に残ったことを記しておきたいと思います。

 

 

基調講演は、生成AIで作成したというショートムービーから始まりました。

 

高橋社長がそう説明してくれなければ、

クリエイターさんが製作した”いつもの感じ”だと信じて疑わなかったかもしれません。

 

冒頭、おそらく今回のイベントで一番伝えたいであろうことを

高橋社長がズドンと言い切られたので、同じ目線でお話を聞くことができたように思うのですが

 

それは、「グローバルスタンダードをいち早く取り入れて、日本の付加価値を追加したうえで、グローバルにソーシャルインパクトを与えていくことこそ、これからのビジネスの指針になる」という主旨の内容です。

 

ここでいうグローバルスタンダードとは、いわずもがな「生成AI」

あとはやはり通信会社なので「衛星通信」も含まれると理解したのですが。

 

生成AIをいち早く取り入れて、日本的な視点でサービスやソリューションを作り上げて、それをいち早くグローバルで展開していくことで、「ソーシャルインパクト」をいかに最大化していくか。

 

これができれば、(高橋社長はそうは明言されておられませんでしたが)

世界でも突出して少子高齢化が進む日本でも、

というかそんな日本だからこそ、

 

 

少子高齢化をチャンスと捉えて、さまざまなサービス、ソリューションを立ち上げ、社会に実装していく、つまり社会的インパクトを最大化していくことで、

人口減少に関わらず、経済成長を遂げることが可能である。

と本当に示していければ、日本はまた世界から注目される対象に返り咲ける。

 

私は、そんなふうに理解しました。

 

 

 

 

これは余談ですが、グローバルに打って出ているスタートアップの経営層にお話を聞苦ことがありまして

取材時、「メイドインジャパン」はまだグローバルで価値はありますか?と率直に聞いてみると、

宇宙ビジネスにしても、ドローンビジネスにしても

「日本の企業だ」というだけでまだすごくアドバンテージがある

と口々におっしゃるんですね。

 

 

これはどういうことかというと、やはり経済成長期にいまや大手となった日本の企業が当時はスタートアップとして、そして敗戦から這いあがろうという不屈の精神を持って、

グローバルに打って出たことと、その時の日本人らしい他者への配慮、感謝の精神、その地域での振る舞い、仕事への真剣さ、緻密さ、丁寧さなどに、現地の方が好印象を持ってくださっている(場合によっては感謝されていたりする)ことが、まだ非常に多く残っていて、

現代の私たちがグローバルに打って出る際には、先人たちの奮闘が、私たちの礎になる、まだそういう力学が働いているのだということです。

 

そして、この恩恵に預かれるのも、世代が入れ替われば薄れるであろうことを考えると、あと10年がタイムリミットではないかと思います。

 

 

 

 

高橋社長も、「失われた30年とか、メディアはネガティブなことし書かない」と若干ディスっておられましたが、本当、その通り。

 

濡れ落ち葉とか揶揄されたり、転勤族の妻子は抗えない生き方を余儀なくされたり、年功序列は古臭いとか、散々ネガティブな面ばかりフューチャーされがちですが、

 

いや、私もメディア側の人間なので、若干耳が痛いというか、、、

ネガティブなことを言った方がバズるっていう風潮は本当にやめた方がいいと思ってるんだけど

 

滅私奉公で働いた先人達の汗が乾ききってしまわぬうち、感謝の気持ちを持って、よいところを引き継いでいかなくてはと思うわけです。

 

 

高橋社長がいう「日本的な付加価値」が何を指しておられるのか、この基調講演では明らかにされていなかったところやや残念なのですが

ここは本当にキーワードになると思うので、私自身もこれから考え続けていきたいと思いますし、いつかインタビューさせていただく機会があれば、率直にお聞きしたいところです。

 

そのうえで、KDDIとしての行動指針は、「業界特化型のAIビジネスプラットフォーム」を構築、提供していくそう。

そうなると、クラウド、エッジ、オンデバイスをうまく組み合わせて、従来のGPU依存のAI処理ではなく、どこで処理していくかと考えていく必要があるとのこと。

具体的には、エッジサイドにより寄せていく必要があるだろうとのことで、半導体ビジネスもっと勉強しないとなと思ったりしました。

 

そういえば、熊本県に半導体の工場を誘致したりなど、いい流れもあったなということを思い出したり。

 

 

 

あと、嬉しいなと思ったのが、グローバルを目指すスタートアップをより積極的に支援していくと明言されたこと。

 

別のインタビュー(もう3年前だっけ)でも、トヨタのウーブンキャピタルのトップの方から、

日本のスタートアップは最初から日本のマーケットしか見てない。それではスケールしない。もっというと、日本の教育から変えていかないといけない。

と指摘されたことが、もう長いこと忘れられずにいるのだけど、

ようやく大手グローバル日本企業でCVCも積極的にやられているところが、グローバルを目指すスタートアップを育てると言い切ったことは感慨深かったです。

 

ついでに、「支援する」とふわっとさせるのではなく、「KDDIのアセットを掛け合わせることでスケールする企業と、一緒にグローバルに出ていく」「とはいえスタートアップファーストが大事」と、

個人的には「スタートアップ支援の教科書なんじゃないか」と思うくらい、そうだよね!!と思うことをおっしゃったのは素直に嬉しいです。日本もまだまだ捨てたものじゃないなと思いました。

 

 

 

 

基調講演の後半は、OPEN AI 日本法人の長崎社長との対談。

ここで一番覚えておきたいと思った議論は、「AIに早く使って、早く慣れる」ことの重要性。

 

AIは、これまでのソフトウェアとは異なり、マニュアルがないので、使うことで使い方が生み出されていく。

かつ、進化のスピードが速く、予測もできない。

だからこそ、早く使って早く慣れろ、と。

 

 

ちなみにこの話を帰宅後、夫にもしてみたら「めちゃくちゃ同感」と言ってました。

 

あっ、先程の「エッジサイドに寄せていく」の話も伝えてみたところ、「AruduPilot(ドローンのオープンソースソフトウェア)で生成AIを使った事例があるけど、エッジで処理させたら25分かかってた。まだまだそう簡単にはいかないとは思う」みたいなことを言ってて

家に全く違う職種の人がいるのは本当に面白いな、と改めて思いました。

 

 

そして、ファミリーキャリアにおいては、「テクノロジーによるビジネス・働き方の変容」は、やっぱり必須科目ですね。

もっとこういうネタを提供できるようにしていこうと思いました。