先週、日本経済新聞と中国国内でスタートアップ企業情報の提供を行う「36Kr」(北京市)の業務提携を記念して開かれた「いま知るべきチャイナテック」の取材に出かけてまいりました。イノベーションエコシステムを構築した、中国スタートアップ特化型メディア「36Kr」に注目した理由について書きました。(初回掲載日:2019年7月9日)
36Krとは?
36Krとは、中国最大級イノベーション・スタートアップ専門メディア( 36Kr.jp)で、2019年5月に日経新聞と業務提携しました。BATなど中国の大手企業の動向からイノベーション最新情報にリーチでき重宝します。
ツイッター“さっと読み”だけでもインプットになるので、リンク貼っておきます!(2020年4月27日追記)
下記より、2019年7月に開催された、日経との業務提携記念イベントの取材レポートになります。
「中国はいまや、スタートアップ大国。2019年上半期までのVC投資額は524億ドル、2018年は1746億ドルで世界第1位。IPO資金調達は前年度の3倍になり、ユニコーン企業200社以上に上る。」
冒頭でこう語ったのは、36Kr経営トップの馮大剛総裁です。
36Krは、中国のスタートアップ企業の情報を集約したプラットフォームで、月間PVは8億、 MAUは3000ユーザー、毎月10万記事・毎月1.5万社の記事を配信しているそうです。
要は、中国スタートアップ企業に特化したB2B向けメディアなのですが、約10年かけて蓄積した情報をリソースとして、メディアビジネス以外のビジネスモデルを確立しているところは要注目だと思いました。
従来型のメディア広告収入や購読料のほか、スタートアップ企業向けのコンサルや教育といったサービス提供による収益が伸びており、さらにここを伸ばしたいとのこと。
日経新聞との業務提携の目的は、当然ながら日本市場開拓ですが、日本に関心を持った理由として馮総裁があげたのは、2つ。1つは、日本の科学技術力。そしてもう1つは、資金力です。
中国スタートアップ企業をデータベース化し、企業規模・ニーズに合わせてリスト提供からハッカソン開催などのマッチングまで手がける36Krですが、すでに日本の大手コンサルティングファームとの提携も決まっているそう。
日経新聞側としても、現地の生活に溶け込んで情報にリーチすることは難しい、リソースや言語の壁もあり困難だったと言います。日本にいながら、36Kr経由で生の情報を入手できるようになるのは、ありがたいと感じるのと同時に、日本にはこうしたスタートアップエコシステムがないなあ、と改めて考えさせられました。
パネルディスカッションも充実
続くパネルディスカッションでは、中国事情に詳しい野村総合研究所の李智慧氏、IoT関連スタートアップのプラットフォームIng Danの加藤氏、私が昨年から注目&応援しているドローン開発のエアロネクストの田路氏が登壇。
チャイナテックを長年注視してきた野村総研、深圳のハードウェアシステムのエコシステムをまとめた形で利用できるInd Dan、実際に行動に移したエアロネクスト、という座組でのディスカッションはかなり貴重でした。
個人的には、36Krにメディア運営の活路を見た気がします。特定のテーマで情報収集をやり抜くこと、そのリソースを活用して新たなビジネスを見出すこと。基本には、「ブレない軸を持つ」姿勢が必須だなと、実感した夜でした。