連載ファミリーキャリアであゆんでいこう vol.2 のテーマは、「ライフラインチャート」。キャリアの棚卸しや自己分析の進め方ややり方、家族で話すとき気をつけたいことをご紹介します。ポイントは3つ。いまの状態を知る、大切にしてきた想いを感じる、辛かったことだけを見つめない、です。
ライフラインチャートとは
ライフラインチャートとは、過去から現在を振り返る自己分析ツールです。
嬉しかった・達成感があった・幸せを感じたなど、感情がプラスに傾いていた時期と、悲しかった・悔しかった・辛かったなど、感情がマイナスに傾いていた時期を曲線で結び、グラフにしていきます。
例えば、こんな感じ。
ここから読み取れる「いまの状態」は、幸福度がマイナスではないけれども、物足りなさを感じて数年過ごしているということです。
これからの人生を、楽しいな、幸せだな、充実しているな、というプラスの気持ち多めで過ごしていくためのヒントは、曲線の凹凸部分にあります。
キャリアの棚卸し、自己分析の進め方
では次に、大切にしてきた想いを紐解きます。
まず、感情がプラスに働いていた時のことを考えてみます。
- どんなことをしていたのか
- なぜポジティブな気持ちで過ごせていたのか
- どんなことがあなたにとって嬉しいことなのか
- どんなことなら頑張れるのか
- 何をしてどういう環境のときに充実しているのか
などなど、あなたが本意な状態であるためには何が必要なのかを言語化していきいます。
そして同じように、感情がマイナスに働いていた時のことも振り返ってみます。
- どんなことをしていたから辛かったのか
- どんな状況の時に何が悲しかったか
- どんなことがあなたにとって悔しいことなのか
- どうやって困難を乗り越えたのか
- 苦しい経験から何を学んだか
このように、あなたが幸福を感じられない要因や、許せないことなどを改めて振り返り、あなたが何を大切に想っている人なのかを紐解きます。
感情がプラス/マイナスに働いていた時の度合いを、○点など数値化するという方法もあります。
ただ、あまりにも辛すぎたことを深く考えると、不必要に悲しみが大きくなりすぎることもあると思います。振り返るのが時期尚早なのです。そこは、無理せず。
「まだ、苦しみが続いているな」と、いったん認められるだけでも、大きな一歩だと思います。
ファミリーキャリアにいかすために
最後に、ライフラインチャートを使ったキャリアの棚卸しや自己分析について、家族で話すときに気をつけたいなと感じていることをお伝えしておきます。
ライフラインチャートをご夫婦やパートナー同士で一緒にやってみるのも1つの手ですが、ライフラインチャートは極めてプライベートなもの。ざっくりと口頭で共有するくらいにとどめ、全てを見せ合う必要はないのかなと思います。
現状がマイナスだったりすると、“相手に悪いなあ、言いにくいなあ”という思いが先立つと思いますし、「まだ、苦しみが続いている」という想いを抱えている場合は、家族とはいえ全てを開示するのはつらいことでしょう。
お互いの過去を全て知ろうとすることよりも大切なのは、各自がキャリアの棚卸しをして自己分析を深めたうえで、「自分について分かったことを伝え合う」「話せることだけ話す」ということです。
そしてお互いの話をともに総合してみて、「あなたの幸福度をもっと上げられるように、家族で協力しよう」「全然違うタイプの人間だと思っていたけど、大切にしてきた想いは似ていたんだね」など、違いや補完性を少しでもともに見出すことができれば、家族としてのキャリア戦略を描くために、とても有意義なことだと思います。
次回vol.3では、「強みの見つけ方」について掘り下げていきます。
●連載一覧の表示の仕方:記事の下のほうにある「# ファミリーキャリアであゆんでいこう」をクリックしてください。
▼連載初回では、ファミリーキャリアとは何か、夫婦で「家族としてのキャリア戦略」を話し合い描くためのフレームワーク9つの概要と目的についてご説明しています。