昨日、NHKストーリーズ「冬 試練の翼~ANA・社員たちの苦闘~」をみました。ANAさんにはドローンや空飛ぶクルマ関連でご取材させていただく機会があるので、コロナ禍でのご状況をしっかり頭に入れておきたいと思い・・・。備忘録と感想です。
コロナ禍以前は年間6,000万人の人の移動を支えてきたというANA。年間便数は、国内線2万4,000便、国際線5,300便。
けれども2020年度は5,100億円の赤字見込みとのことで、2021年度末までに4,000億円のコスト削減を計画しているそうです。
そのメインとなるのが、旅客機の売却。保有台数の1割にあたる33機を売却し、飛行機が飛んでも飛ばなくてもかかる維持費をカットしたい方針です。(整備費は、確か1日あたり9億円とのナレーションだったように記憶していますが、ちょっと信じられない数字です汗)
しかし、旅客機を売却しランニングコスト削減を図るという戦略ですが、すでに航空各社がこぞって機体を売却しており買い手がつかない状況とのこと・・・。
番組では、それでもなんとか買い手企業のニーズを掘り起こして売却先との交渉に持ち込もうとするチームのMTGの様子や、整備士として憧れだった大型旅客機Boring777の整備に従事し22年もの間機体をメンテナンスしてきた方の「本当だったら、たくさんのお客様を乗せて飛んでいたはず。まだまだ飛べる機体です」という生々しい言葉が報じられました。
地上でも、「この仕事を続けられるのだろうか」「副業は何をしようか」と一瞬一瞬頭がよぎるのを堪えて、空港の利用客に笑顔で接するスタッフの姿。年末年始の1000便以上の欠航を、1便1便、「振替輸送手段がある地域課どうか」など丁寧にギリギリまで吟味し、本当はお客様を乗せて飛びたいけれど赤字を抑えるためにと欠航を決めていく姿。
片野坂社長が「ANAは人の移動を支えてきた。けれども、それをしてきたのはまた“人”なのだ。4万6,000人の雇用を守り抜く」とオンラインで社員に語りかける様子も拝見しました。
そのような中、コスト削減のみならず、CAさんによるオンラインセミナーや、機内食の一般販売(これはめちゃくちゃ人気で1万食以上が1週間で完売したらしい)など新たなビジネスを始めることで、4万6,000人の仕事を創り出そうとしていることも、とても印象的でした。
番組の終わり、“まだ飛べる”Boring777が、「旅客機の墓場」と呼ばれるアメリカの解体場へと最後のフライトに飛立つ様子が流れ、売り手市場になってしまった大型旅客機の買い手は「部品業者」になっている実情が知らされたのですが、その機体の最後の整備をした方の仕事ぶりには胸がマックス熱くなりました。
解体されるために飛立つ旅客機のエンジンなどを念入りに整備し、アメリカまでの長いフライトを安全に運航できることを祈りつつ、「部品になっても、もしかしたらまたこのエンジンが、他の旅客機で使われるかもしれない」といつも以上にしっかりと整備されていたのです。
「矜持がある」とは、このような働き方をいうのだなと思う。
この方達からもしキャリア相談をお受けしていたら、私はなんとお声かけできるだろう。
ANAさんの記事を書かせていただくにあたり、「コロナ禍で大打撃を受ける中」という一言で済ませたくだりに、どれだけの想いを込めて書けていただろう。
さまざまなことを考えさせられます。
まだ出口の見えない時期が続きますが、解体された部品をみて、「さすがANAだね」ときっと気がついてくれる人もいるはずだと信じたい。心折れないでなんとか頑張ってほしいですし、機内食の一般販売や、CAさんが考えた化粧品など、新たなビジネスにも注目していきたいです。