男性版産休、2022年秋から

「男性版産休」ともいわれる出産時育児休業を新たに設ける改正育児・介護休業法が、2021年6月3日に衆院本会議で可決、成立したとのことです。私がポイントだと思う点のは、子どもが誕生後8週間以内に、夫が休みやすくなる点。

 

「男性版産休」の具体的な内容は下記のようです。

・子どもが生まれてから8週間以内

・4週分の休みを取れる

・2回に分割してもOK

・これは夫のみが利用できる

・2週間前までの申請でよい(通常は1ヶ月前間で)

・「最大で賃金の8割が保証される」(通常の育休と同じように育児休業給付金、社会保障料の免除)

 

改正の施行時期は、2022年10月を予定。1年ちょっと先からですね。

 

また、2022年4月からは、「育休制度の周知」と「取得の意向確認」を企業に義務化するとのこと。ちなみに現在は努力義務となっている。

 

男性の育休は進むのか?

 

「男性版育休」というネーミングだけを見ると、すごく前進したような感覚を覚えるけれど、

忘れてはいけないのは、男性の育休取得は約7%(2019年度)という事実。

 

2020年には13%という政府目標が掲げられて以来、毎年1%ずつとかしか増えてきてないんですね。

2020年度の集計はこれから発表になるかと思いますが、コロナの影響でリモートが進んだり、旅行や飲食業など一定の業種は窮地に立たされていることを考えると、目標の13%を達成しているとはとても思えません。

 

それから、取得している人の日数も、とても短い。取得した男性の約40%が3日以内、約25%が4日〜7日です。

 

今回の法改正に伴って、2025年までに男性の育休取得率を30%にという目標が掲げられているようですが、

正直、現行法でも制度は国際的に見ても整っているほうで、「それでも、取れない」ことの問題のほうが大きい。

 

だとすれば一番早いのは、取得自体を義務化することだと思います。逆にいうと、取得の義務化に踏み切らない以上、男性の育休取得率が劇的に変化することはないと見ています。

 

ひとつ参考になるのは、有給休暇取得率の変動です。

2019年4月から、有給休暇取得時季指定が義務付けられましたが、2019年の有給休暇取得率は前年比1.3ポイントしか増えていません。

平均取得日数も前年比0.1日増にとどまっています。

 

2019年4月から何が義務付けられたのかというと、「いつ休みますか」という有給取得の意向を労働者に聞いて、休む予定を決めなくちゃいけないということ。

 

ですが、この方法がおそらくほとんど機能していない(効力がない)わけですから、これを踏まえると、男性版産休も・・・と、なんとも期待が膨らまないわけです。

 

会社の経営状況や組織体制、風土、上司の価値観、上司との関係性、周りの目、いま休みたいくないというご本人の意思など、さまざまな背景があると思うけれど、

「休めるなら休みたい」と思っているなら、

「そもそも自分はどうしたいのか、どんな人生を歩みたいのか、どんな家庭生活を送りたいのか」に向き合い、

自らの心に従って “自律的に行動した者勝ち” です。

 

せっかく制度が新たに設けられるのですから、

(社会的には、こんな制度作っても取得率は伸びなかったね、という批判的な論調があふれることが予想されますが、それに惑わされることなく)

「自分はどうしたいのか」を、これをきっかけに見つめ、

自分らしく、必要な制度、最適な職場環境を選び取っていく方が増えたらよいなと思います。

 

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