米ツイッターは5月12日、従業員の在宅勤務を「永久に」許可することを公表した。新型コロナウイルスにより、新たな働く文化が形成されつつあることに言及し、物理的な作業を必要とする業務に従事する場合を除き、全世界の約4,600人の従業員が希望すれば在宅勤務を継続できるという。
同社人事部門責任者のJennifer Christie氏のブログによれば、
- 2020年の9月まではオフィスを閉鎖する
- オフィス再開後も段階的かつ慎重にオフィス勤務を進める
- 9月までは出張も禁止
- 2020年内はリアルで集まる社内イベントも禁止
こうした対策のアナウンスと同時に、従業員が希望すれば、「永久に」在宅勤務を許可することを明言した。(ただし、サーバーの保守など、物理的な作業を行う場合は除く。)
在宅勤務や遠隔勤務でも、分権化や分散型ワークにより、問題なく遂行できることが確認できたことを背景に、今回の決断に至ったようだが、先立って同社CEO Jack Dorsey氏は、サンフランシスコに依存しない分散型の働き方を進めると言及していた。
ちなみに、2020年1月〜3月期決算では、純損益が約9億円の赤字に転落。在宅勤務や遠隔勤務の大きなメリットの1つは固定費低減である。
米ツイッターの発表は、FacebookとGoogleが、2020年内まで在宅勤務許可を延長すると発表した数日後に行われ、「今後は多くのIT大手企業がこれに追随するのでは」と注目が集まっているようだ。
しかし、2017年にはIBMが遠隔勤務を禁止、2013年にはヤフーが在宅勤務を禁止した歴史がある。
当時、その理由としては、
- 従業員同士のコラボレーションや協力体制を阻害する
- イノベーション誘発機会を失う
- 上司とのコミュニケーションが希薄になり、キャリア開発にマイナス
- 従業員が孤独に陥りやすい
- 時差がある拠点同士では、特に一体感が損なわれる
などが挙げられた。
オフィス費用削減、個人の業務生産性向上、プライベートとの両立のしやすさによる従業員のエンゲージメント向上など、様々なメリットを考慮しても、企業価値向上において在宅勤務や遠隔勤務による様々な機会損失の方が、インパクトが大きいとみなされたのだ。
今回のコロナウイルスに端を発した「恒久的リモート許可」が、どう広がりを見せるのか、そしてその結果がどうなるのかは、非常に興味深い。
個人的には、希望すれば在宅勤務を、(逆にいえば、希望すれば気軽なコミュニケーションやコラボレーション、深い話し合いのために出社することも、)自由に選べることは非常に好ましい。
けれども、“組織がバラバラになる感じ”は、なんとなく想像がつく。
こまめな1 on 1や、1週間などのがっつりした合宿、ビデオ会議や今後はホロコミュニケーションのようなxRデバイスを活用したオンライン会議システムの導入など、様々な施策が求められると思うし、テクノロジーによって2017年よりも「できること」は増えているはずだ。
遠隔でのコラボレーションをいかに創出するか、新たな取り組みを楽しみながら導入できたら、最高の組織になるのではないだろうか。
「遠隔勤務の課題をどう乗り越えるか。」
それを生業とする企業がさらに活況になる可能性すらあると思う。いろんな観点で、これからが楽しみだ。
参考にした記事の原文:
https://blog.twitter.com/en_us/topics/company/2020/keeping-our-employees-and-partners-safe-during-coronavirus.html(リンク)
https://www.cloudpro.co.uk/operations/business-management/8565/twitter-will-let-employees-work-from-home-indefinitely(リンク)
https://www.cloudpro.co.uk/operations/business-management/8559/facebook-and-google-extend-remote-working-policies-until-next(リンク)
https://www.buzzfeednews.com/article/alexkantrowitz/twitter-will-allow-employees-to-work-at-home-forever(リンク)
https://www.buzzfeednews.com/article/alexkantrowitz/twitter-got-a-big-tax-break-to-stay-in-san-francisco-jack(リンク)