「転職しようか」「副業を始めようか」と、いろいろと考えを巡らせる中で、いつも何でも話しているという仲のよい家族であればあるほど、相談すると「好きにしていいよ」という回答をもらうことが多いようです。(初回掲載:2020年11月8日、最終更新:2021年5月18日)
これまでは「好きな道を選択できるわけですね」と、肯定的に捉えてお話を伺うことも多かったのですが、
最近、本当にそうだろうかと疑問に感じています。
今後のキャリアのこと、これまで積み重ねてきた経験のこと、新しく挑戦したいこと、家族への負担、このままでいいのだろうかという不安や焦り、現状への憤りなど、
さまざまな想いを抱えて、ご家族にそのことを打ち明けておられるのだと思います。
そんななか、「好きにしていいよ」というのは、
あなたの意思を尊重する、何が起きてもサポートする、失敗してもあなたのことが好きだという、すごいパワーをもらえる言葉である一方で、
「あなた独りで考えてね」と、突き放されたように感じてしまうのではないだろうか、と思うのです。
「自分の悩みを、家族の悩みとして、取り合ってもらえなかった」
そんな風に感じているなら、とても寂しくて悲しいし、残酷な言葉ですね。
でも、普段から何でも話せて、自分のことを尊重してくれている、かけがえのないパートナーだからこそ
「ありがとう」「もうちょっと考えるね」「決まったらまた伝えるね」と、一歩引いてしまうようです。
「好きにしていいよ」というのは、
散々話し合って、何が一歩踏み出せない要因かもある程度言語化されていて、それでも「それは気にしないで、挑戦してみたら」という時に言われて初めて、効力を持つ言葉なのではないでしょうか。
もし、「好きにしていいよ」と言われて悩んでしまうってことは、「もっと聞いてほしい、分かってほしい」のだと思います。
何を聞いてほしいのかは、
- 何を自分の強みとして仕事をしていくべきか分からない
- 結婚や出産などのライフイベントの影響で価値観が揺らいでいる
- 好きなこと、やりたいことに振り切ると収入が減ってしまう
などさまざまで、複数に渡っていることのほうが多いようです。
また、育児で可処分時間が減ってしまったり、自分の内面に集中できる時間が細切れになっているために、収集がつかなくなってしまっていることも多いと思います。
私自身の経験では、キャリアコンサルタントの国家資格を取得する講座に通った4か月で、自分のことをテーマにさまざまなワークを行い、第三者に話す時間をたっぷり得られたことで、これまでのキャリアの棚卸しをできました。
それをリアルタイムで夫に報告して「理解してもらえた」ことは、とても有意義で人生の転機になったと思っています。
具体的に、どういうワークを行ったかというと、
ライフラインというフレームワークでこれまでの人生を振り返ったり、RIASECという職業適性タイプ診断を使って強みを掘り下げたり、理想的な時間の使い方と現実のギャップを可視化したりなど。
多面的に現状分析をすることができ、それを夫に聞いてもらえたことで、自己理解が定着したし、それを鏡にして相手をより理解することにもつながったと思います。
もし、「好きいしていいよ」とパートナーから言われても悩みが解決していないのならば、2つのことをご提案したいです。
1つは、「これについて悩んでいるから、いま考えていることをひたすら聞いてほしい」と、悩みの土俵に上げること。そして、すぐに答えが出なくても、その問いに一緒に挑み続けることです。
もう1つは、キャリアコンサルタントやコーチなど、お友達ではない第三者に話して、分かったことを家族に報告すること。
いずれの方法も、1回で劇的に新しい道が迷いなく現れることはないかもしれません。
けれども、その模索も含めて、キャリア開発なのだと思います。
私が資格取得時に取り組んだいくつかのワークについて、このブログでワークシートなどを公開していきたいと考えていますので、その時はぜひご参考になさってください。(おそらく今年中には・・・汗)
▼ファミリーキャリアについてためのフレームワークをご紹介しています。