2019年4月から12月まで、東京と福島県会津若松市の、デュアルライフ(2拠点生活)を体験しました。今回は、デュアルライフ・2拠点生活を振り返り、仕事面でのメリット・デメリットと、次回は改善・工夫したらよいと思うことをまとめました。
わが家のデュアルライフ(2拠点生活)のあらまし
- 東京都23区内(自宅)〜福島県会津若松市(社宅)
- 夫(会社員)の仕事の都合で、デュアルライフを開始
- 私(フリーランス)と息子(保育園)は、夫を全面応援!
「社内公募の面白そうなプロジェクトがある。会津若松なんだけど・・・。」
事の発端は、夫のその一言でした。聞けば、とても先進的なプロジェクト!夫のキャリアにプラスになると思い、すぐに「東京と会津のデュアルライフ(2拠点生活)」を提案しました。
(ちなみに、デュアルライフ・2拠点生活のきっかけや、どのように家族で合意して行ったかについては、前回の記事で詳しく書いています。)
いやしかし、渡りに船とはこのこと! 私も流行りのデュアルライフ(2拠点生活)をやってみたかったの!このチャンスを逃す手はない(笑)。
結果的には、挑戦してみて、とてもよかったです。仕事面の大きなメリットは、興味関心の幅や交流が広がったこと。
また、将来の備えとしても、意味があったと思います。夫も私も地方出身。仕事と介護との両立のため、2拠点や多拠点での生活という選択肢は十分あり得るからです。
有事に備えて多拠点生活の経験値を積んでおくことは、地方出身の方には特におすすめしたい。
というわけで、デュアルライフ・2拠点生活の仕事面でのメリット・デメリット、(★ここが重要→)次回は工夫したらよいと思う点など、忘れないうちにまとめておきたいと思います!
デュアルライフ・2拠点生活の仕事面でのメリット
- 興味関心の幅が広がる
- 新たな人脈ができる
- やりたいことを改めて考える機会になる
私の仕事は、ライター/キャリアコンサルタント。東京でフリーランスとして働いています。
たまにドローンを飛ばしますが、仕事にするには全くもって未熟な趣味レベル。都会では飛ばす場所が近くにないので、会津若松に住めばドローンのスキルアップに繋がるかも、と期待を寄せていました。
さて、実際に住んでみての仕事面でのメリットとは。3つに整理して、ご紹介します。
(1)興味関心の幅が広がる
まず、興味関心の幅が広がりました!
家から徒歩圏内に、鶴ヶ城があったので、何度も訪れて城内の資料を見るうち、会津がいかに歴史ある場所かを知ったのです。
また会津地方には、東北地方有数の歴史を持つ伊佐須美神社や、福島県内2番目の大きさを誇る大塚山古墳もあります。
実際に住んでみることで、様々な史跡の存在を知り、ゆっくりと訪れて調べることもでき、会津の歴史をとても身近に感じられました。
そこで、これまでは思いもよらなかったことに気がつきます。
会津は古くから東北地方の要所として栄えていた一方で、現在では新幹線のルートからも外れているのです。江戸末期の戊辰戦争が、既存の社会インフラ構築にいかに大きな影響を及ぼしているかを考えさせられました。
また、日新館という会津藩校の教え「ならぬものはならぬ」がいまも浸透しているためか、会津若松市内で走る自動車は、子供が横断歩道で待っていると、ほぼ100%の確率で止まってくれました。会津藩校の教育精神は、海外にも誇れる日本の文化ではないだろうかと強く感じました。
「地方創生」には、以前から関心がありましたが、デュアルライフ・2拠点生活の醍醐味は、旅行では難しい「その土地への深化」にあると実感しています。
(2)新たな人脈ができる
それから、ドローンを通じて、新たな人脈が広がりました。会津ドローン同好会のみなさんと知り合えたことは、とても有益でした。
現地のドローン空撮スポットを教えてもらえるとか、空撮に同行できるとか、情報入手経路としての人脈ではありません。会話の中にこそ、学びがあったのです。
自然の恵みを楽しむ喜びを、東日本大震災で失ったこと。川魚を採っていただくような遊びを、孫に教えたくとも、放射性物質の影響を考えるともうできないこと。日常は急に奪われるからこそ、いまの郷土の美しさをドローン空撮で残しておきたいこと。
東京で暮らしていると、リアルに知り得なかったことを、たくさん聞かせていただきました。
ライター(物書き)もキャリアコンサルタントも、今という時代と、リアルに生きている人の背景や気持ちを、広く深く知らなければ、人の心に価値を届けることはできません。
これまでの生活の延長戦では、出会うことのなかった人生や価値観に、直に触れらさせて頂くことこそ、デュアルライフ・2拠点生活の奥深さ。積極的に現地の方と交流を図ることをおすすめします。
(3)やりたいことを改めて考える機会
新たな土地への理解、新たな人々との交流から、これまでは気がつかなかったこと、考えもしなかったことを、想うようになります。
デュアルライフ・2拠点生活で、これまでの仕事を継続しようとすると、ものすごく生産性を意識しますし、離れていても認められるよう、成果へのコミットメントも上がります。
それから、「この経験から独自性を出せないか」と、自ずと考えるようになるはずです。
新たな価値観との出会い、生産性と成果へのこだわり、独自性への意識向上、この体験が重複することで、「自分は本当は、何をやりたいんだろう」ということを、改めて考えられるようになるのです。
ちなみに私の場合は、強みやキャリアの方向性はそのままに「暮らし方」を豊かにしたいと考えるようになりました。
デュアルライフ・2拠点生活の仕事面でのデメリット
- リアルでは対応できない
- 会話量が減る
- 移動に時間が取られる
デュアルライフ・2拠点生活、最大のデメリットは、やはり何といっても「リアルでの動きを求められたら、対応できない」こと。
私の場合は、イベント取材や人物インタビューのご依頼を、2拠点生活先への滞在中はお受けできない、ということが発生。お仕事を断ることで、今後の受託機会も失うのではないかとヒヤヒヤしました。
なので、滞在前に取材して、滞在中に執筆する。このようにタスクを切り分けるよう工夫したのですが、滞在日程と案件のスケジュール調整にはかなり気疲れしてしまいました。
あとは、2拠点生活先では仕事仲間がいなかったのと、会社にも所属していなかったため、取材もMTGもなくて、誰とも話せない!これは地味に辛かったです。
移動時間が取られることも、微妙に堪えました。というのも、平日移動していたのです。土日(夫も休み)は、滞在先エリアで家族みんなでお出かけしたかったので・・・。
平日に移動すると、仕事の可処分時間が減ります。さらに子連れだと、移動中、1人仕事に没頭するわけにも行かず。滞在先にもよりますが、往復約1人日が移動に取られてしまうことは、実際やってみて痛感した大きなデメリットでした。
※補足:移動費用を経費計上できるのか(会社に折半でも請求できるのかなど)、地方創生に関する助成金がないか、などは個別に調査&交渉が必要だと思います。
デュアルライフ・2拠点生活の仕事面で改善・工夫すべきこと
- デュアルライフの意味がないような働き方はしない
- 2拠点生活先での業務を、MUST/WANTに分ける
- ストレス発散法を用意する
デュアルライフ・2拠点生活する目的は、人それぞれだと思います。
でも、旅行ではなく「住む」「頻繁に訪れる」という選択をした以上、その土地での暮らしにこそ意味がある。「初心忘るべからず」です。
連日、夜遅くまで仕事をする。土日も、ビジネスチャットや作業をする。本来、その土地で「やりたい」と思っていたことを、二の次にする。
デュアルライフ・2拠点生活では、こうした過ごし方や働き方に、絶対に甘んじないこと。これを念頭に置いて、職場や案件の選択、時間の使い方を調整していくことをおすすめしたいと思います。
2拠点生活先で、どの業務を絶対に終わらせなければならないか、逆に欲張って終わらせなくてもリカバリーできるのか、MUSTとWANTを明確に区別することが重要です。
収入、納期、職場や取引先との関係性、ご自身の働きがい、様々な観点から業務や案件を見つめ直す好機となるのではないでしょうか。
最後に、ストレス発散法を用意しておくことも大切です。ホームタウンからの疎外感を、必要以上に感じないよう、時にはオンラインイベントやオンライン飲み会でコミュ見ケーションを取ることもよいでしょう。
また、思うように仕事が捗らなかったり、先行きの不安を感じた時でも、デュアルライフ・2拠点生活の価値を再確認できるような、その土地ならではの居場所や友人、食や文化などの癒しを、できるだけ早く見つけておくことで、仕事にも生産性高く取り組めるのではないかな、と思います。
大自然に身を任せるようなアクティビティに出かけるのも、とてもリフレッシュできますね!私は、雪山に家族で出かけて、大きなカマクラを作ったのが、とっても気分転換になりました。ひたすら雪を積み上げて、掘る、掘る、掘る・・・地味ですね(笑)。
わが家の東京〜会津のデュアルライフは、夫の職場のプロジェクトの状況により、残念ながらいったん終了となりましたが、この体験は今後の財産になると思っています。この記事が、デュアルライフ・2拠点生活を検討中の方の参考になれば幸いです。
また、デュアルライフ・2拠点生活と仕事との両立にお悩みの方は、オンライン・キャリア相談も承っております。こちらからお気軽にお問合せください。