家事育児と仕事を「両立するコツ」について、考えてみた

今週末、育休復帰準備講座に登壇し、「両立のコツや工夫」についてお話しする予定です。この春には、子どもが保育園を卒園し小学生になることもあり、改めて家事育児と仕事の両立について、考えてみました。

子育ては「副業」、20年スパンの一大プロジェクト

家事育児と仕事の両立について考えるとき、どうしても「近視眼的」になりがちです。

保育園入園、時短かフルタイムか、ワンオペ育児、小1の壁、小4の壁、受験・・・。

ただでさえ時間貧乏な毎日のなかで、「いかに両立すべきか」を考えるわけなので、イベントやいまの困りごとに、フォーカスしがちになるのは当たり前なのですが。

でも子育ては、20年スパンでの一大プロジェクト

全体と通して、「俯瞰的」な視点で、自分なりの両立のありたい姿を考えてみることも必要です。

子どもを持ったというイベントを起点にキャリアを考えるのではなく、そもそも仕事を持っている私が「子育て」という副業を持ったと捉えてみてはいかがでしょうか。

「やらなきゃ意識」から抜け出すこと

イベントや困りごとを起点に両立を考えると、既存の制度やルールへの不満足感が出てくると思うんですよね。

例えば、時短で働くために転職するか、いまの会社でフルタイムで働くかという悩みも、特に小1の壁を目前にした私の場合は、よく耳にします。

現実問題としては、どちらかの選択を迫られているわけですが、その前に、

「どういう子育てをしたいか」
「どういうキャリアを構築したいか」
「そのために、小学校入学という今を、どう過ごしたいのか」

考えることで、2者択一のプレッシャーから解放される。

どっちを選んでも大変だという不満足感を、いったん横に置いておいて、「本当に自分に合った条件は何かな」と考える余裕が生まれてきます。

既存の制度やルールに合わせて、こうしなきゃ、ああしなきゃ、という「やらなきゃ意識」から少し、抜け出すことができるのではないでしょうか。

また、イベントや困りごとに起点に両立を考えがちなのは、やはり女性です。背景には、アンコンシャスバイアスがあるのではないでしょうか。

アンコンシャスバイアスを認識し、ありたい姿を描く

「本当に自分に合った条件は何かな」と考え始めると、固定概念に気づくはずです。

「子どもが小さいうちは、母親が一緒にいなきゃ」
「習い事をさせないと、他の子に遅れをとる」
「一家の大黒柱は男性だから」

時短を選ぶにしても、「母親が一緒にいなきゃ」という無意識に抱いているアンコンシャスバイアスを前提とするのと、「自分はこういう子育てをしたい」という自分の個性を前提に決断するのとでは、気持ちが随分違うと思います。

ありたい姿を描くことと、アンコンシャスバイアスからの脱却は、表裏一体。

自分一人で考えるだけではなく、パートナーと話し合って、ありたい姿を言葉にしたり、対話のなかからアンコンシャスバイアスを認識して行くことは、非常に有用です。

ありたい姿を、役割ごとに描く

そもそも仕事を持っている私が「子育て」という副業を持ったというスタンスで、ありたい姿を描いてみようと言われても、何から考えたらいいか分からないという方も多いように見受けられます。

そこでおすすめしたいのが、やはりまずはこの2つ。

・ライフラインからこれまでのキャリアの棚卸しを行うことと

・役割ごとに細分化して、ありたい姿をイメージしてみること

実際にこれをやってみる、ワークショップも今年は開催予定ですが、

職業人としての役割をメインに生きてきた自分が、家族人(配偶者、親)としての新たな役割を担うことになったことを意識して、それぞれの役割ごとに、どんな自分でいるのが自分にとって快適か、自己理解を深めて、さらに家族にとって快適かどうかを家族との対話のなかで折り合い点を探っていくことこそ、家族のキャリア戦略です。

強みを生かせて、役に立つ仕事を続ける

長く継続的に、家事育児と仕事の両立を実現するうえで、大切なのは「強みを生かせる仕事」を続けることです。

好きで得意なことこそ「強み」。

自分強みを見つけ、生かして、誰かの役に立つ仕事を選ぶことです。

誰かの役に立つ仕事とは、ニーズがある仕事です。社会、会社、組織、対個人でも、相手は誰でもよいとして、自分の強みに対するニーズがどこにあるのかを見極めなければ、強みを生かした仕事は続けることが難しい。

もしニーズが潜在的なのであれば、ニーズを顕在化させるアプローチも有用です。

余談ですが、いまグローバルでも名を馳せる日本初スタートアップ企業の創業者は、「カテゴリークリエーター」になる戦略で自社の強みを確立したとおっしゃっていました。

潜在的だけどニーズがある、それを1つのカテゴリーとして社会に提示に認知されることで、ニーズを顕在化させたという話です。

これは個人のキャリアにも通じるものがあるなあと、大変興味深くお話を伺いました。

働きやすさと働きがい

最後にもう1つ、家事育児と仕事を両立するために、不可欠なのは「働きやすさと働きがい」の双方を得ることです。

働きやすさとは、時間や場所などの制約、収入、人間関係など。いずれかが著しく働きづらく感じていては、働くこと自体が辛くなります。

自分にとって働きやすい環境や条件は何か、明確にすることがまず大切ですね。

それから、働きやすさだけではなく、働きがいを得ること。

働きがいとは、仕事を通じたやりがい、成長感、達成感など。これが少ない場合は、両立に奮闘する意味が分からなくなるでしょう。

私もかつて、「子どもを保育園に預けてまで仕事をする」という罪悪感がありました。その背景には、3歳児神話、子育ては母親の役割、といったアンコンシャスバイアスがありましたが、それに気づいた後もやはり、「子どもと一緒にいろんなことを体験したいけれども、その時間を削って仕事をしている」というジレンマを感じることは多々あります。

けれども、働きがいを感じている姿を見せるのは、子どものキャリア教育にはプラスになると思っています。

また、生産性が上がらない(集中できない、ダラダラ仕事をしてしまっている)ときは、働きがいも低下しているので、いったん仕事は中断して子育てを優先する、ということも意識してやっています。

「深い自己理解」こそ、快適な両立の第一歩

自分にとって、また家族にとって快適な両立の第一歩となるのは、「圧倒的な自己理解」です。

自分のことをよくわかり、家族とすり合わせができていれば、雇用される際の労働契約や業務契約について、相手方と交渉できるようになります。

また、保育園入園、時短かフルタイムか、ワンオペ育児、小1の壁、小4の壁、受験・・・と、子どもの成長にしたがって変遷していくイベントや困りごとに沿って、「ありたい姿」をアップデートしていけるようになります。

私がファミリーキャリアコンサルタントとして最もやりたいことは、快適に両立できるループに乗っていくためのきっかけ作りなのだなあと、改めて思いました。

今年は、ワークショップ「家族のキャリア戦略会議」を地道に開催していく予定です。初回は、1月29日!!

参加型のワークショップなので、ご興味ある方がいらっしゃったら、ぜひお声かけいただけると嬉しいです。

家族のキャリア戦略会議
https://familycareer.peatix.com

 

余談・・・

両立の工夫は、両立してる人の数だけ、たくさんたくさんあると思います。

家電導入して家事時間短縮や、家族で完全に家事の役割分担するとか、わが家もお世話になっていますが家事代行やシッターさんなどを頼るのも一手です。家が汚くても放置、睡眠第一、子どもを家事に巻き込むという話もよく聞きます。

仕事や世帯収入、住んでいるエリアによってサービスの有無もあると思うので、幅広くTIPSを知っておいて、その時その時のご家庭の状況に合わせて、やり方を工夫していくことが大切なのかな〜と思います。