連載【共働き夫婦「家事育児の分担」を円滑に】vol.4では、家事育児分担のよくある3つ打ち手のうち、1つめの「妻はマネージャー、夫は部下」について、メリットとデメリットを探ってみます。
共働き世帯の家事育児分担のハウツーについては、検索するといろんな方法が出てきますが、
連載vol.1でお伝えしたとおり、共働き世帯の家事育児分担のよくある打ち手としては、このような3つのパターンがあるのかなと思います。
今回は、「妻がマネージャー、夫が部下」という打ち手について、メリットとデメリットを探ってみます。
妻はマネージャー、夫は部下
これは、妻はマネージャーとして家事育児を全体的に管理し、司令塔となってタスクを夫に命じるパターンです。
前回の連載vol.3で触れたように、日本で家庭科が男女必修科になったのは、中学校で1993年、高等学校では1994年。1970年代生まれ以前の男性には、家庭科教育をしっかりと受けていないケースが多いと思われます。
男性が(年齢が高いほど)、家事育児の基礎スキルが低いという前提に立つとすれば、「自分で考えて動いて欲しい」と要求しても、そもそも無理な話なのだから、
新入社員などに仕事を教えるように、夫に家事育児を教えて「夫を育てていこう」という話です。
家事育児、妻が夫を教育するメリット
家事育児スキルの低い夫を、妻が指導・マネジメントするパターンは、わが家もややそうだなと思っているのですが、
最大のメリットは、自らマネージャーとして全体最適を図ろうと腰を据えることで、パートナーに対する批判や怒りをマネジメントできる点だと感じています。
そのうえで、できることからお任せするなど、スキルを見極めた適切なコミュニケーションを取れるようになれば、相手も受け入れやすく、少なくとも喧嘩は減りそうです。
「頼る」「褒めて伸ばす」とか、「細かいところに不満はあっても、まずは感謝する」などのTIPSも、よく見かけますね。
世の中には「サ行褒め言葉」なんてのまであるらしいです。
- サ:さすが◯◯だね!
- シ:知らなかった〜!
- ス:すごい!
- セ:センスいい!
- ソ:そうなんだ!
意外と職場でも使えそうですね(笑)。
家事育児、妻が夫を教育するデメリット
でも、個人的には違和感もあるというか、このパターンのデメリットについて考えてみたいと思います。
新入社員だって、いつまでも管理職の手足みたいに扱われたら嫌ですよね。家事育児だって、同じだと思います。
最初のうちは、家事育児スキルが高い方(たいていの場合は妻)が、具体的なタスクを「お願い」して、慣れていってもらうのは良いとしても、
タスクを切り出して担当させられ、やったのに「ここができてない」「これじゃだめ」など、自分と同じやり方・レベルを求めるのでは、いつしかお互いにげんなりしちゃうかも・・・。
早々と(できれば1日単位で、まるっと任せて)裁量権を持ってもらって、家事育児を自分なりのやり方で楽しんでもらう方向に舵を切った方が、得策だし、健全ではないでしょうか。
以前の取材で、スウェーデン在日大使 ペールエリック・ヘーグベリ氏が、「育休期間中、家事育児の方法を妻に聞いていたら、“私も初めてだから、あなたはあなたのよい方法を考えて”と、任された」とおっしゃっているのを聞いたことがあります。
「あなたに任せる。」この一言があったおかげで、主体的に家事育児に取り組むことができたそうです。参考にしたいエピソードです。
(もちろん、子どもの命に危険がないレベルで、家事育児をお任せできる場合に限りますが・・・(泣)。)
お互いのキャリアを応援する
家事育児の分担を、夫婦のどちらかに偏らせないための、キラーワードは・・・。
やはり、「あなたのキャリアも、わたしのキャリアも、どちらも大事にしたい」という、思いやりに尽きるのではないかなと思います。
厚生労働省「イクメンプロジェクト」で受賞した男性(イクメン)など、家事育児に積極参加している方々に取材させていただくと、
「妻のキャリアを応援したい」という言葉が必ず出てきます。
夫のキャリアを応援する妻は、すでに割と多くいらっしゃると思いますが、共働きが当たり前になったいま、妻のキャリアを応援する夫も「普通」になり、家庭で「お互いに、自分はどういうキャリアライフを歩みたいのか」を話し合えるようになるとよいなと思います。
vol.5 — 家事育児分担のよくある打ち手(2/3)は、こちらに掲載。
▼連載初回は、「共働き家事育児」の総論(まとめ)を図解しています。