連載【共働き夫婦「家事育児の分担」を円滑に】vol.5では、家事育児分担のよくある3つ打ち手のうち、2つめの「タスクの分割」について、メリットとデメリットを探ってみます。
連載vol.4では、「妻がマネージャー、夫が部下」となって、家事育児分担の最適化やスキルの底上げを図るというパターンについて考察しました。
今回は、「タスクを分割する」というテーマです。
家事育児のタスクを洗い出して、それぞれに割り振ることで、家庭を円滑に運営しようということで、これについては本当に数多くの試みがなされてきていると思います。
家庭運営とはそもそも、非常に個別性の高いテーマ。万人に共通する、家事育児分担方法なんて、ないのかもしれませんが、本稿では私がとても参考になった方法を1つだけ紹介したいと思います。
そして、そこから「タスク分割」のメリットとデメリットを掘り下げてみます。
タスクを「4象限」で見える化
早速ですが、私が一番参考になったのは、こちらの記事で紹介されていた、「4象限」で家事分担を可視化するやり方です。
家事育児タスクを「定期」「不定期」に割り振って付箋に1つずつ書き出し、現在夫婦のどちらが担当しているか、張り出していきます。
3年前くらいに書いた付箋が、昨日ひょっこり出てきました。
この殴り書きは、当時の精神状態の現れでしょうか(笑)。
子どもの発熱などにより保育園からの呼び出しなど、予測不可能な不定期のタスクから、「名もなき家事」にも、できるだけ名前をつけて可視化します。
ちなみに、私はこの4象限の表を、しばらくテーブルに放置しておきました。いかに妻エリアに付箋があるかのアピールです。怖いですね(笑)。
家事育児のタスクを分割するメリットとデメリット
この方法には、たくさんのメリットがありました。
- 家事育児分担の偏りを可視化できて、何よりスッキリすること
- どのタスクなら、割り振りが可能か、建設的な議論に発展しやすいこと
- 定期・不定期に分けることで、ルーティンを見直しやすいこと
- 「名もなき家事育児」に名前がつくこと など
ただ、タスクを明確に分けてしまうことについては、デメリットもあるなと思うようになりました。
それは、仕事の状況や心身の調子は毎日違うのに、助け合いにくくなること。
「こっちは私、こっちはあなた」とタスクを割り振ってしまえば、短期的には楽かもしれません。
けれども、トラブル対応で深夜残業が続くときもあれば、異動や進級の直後など新しい環境に慣れるのが大変なときなどもあるし、
日常は毎日が違う日ですよね。
タスクを明確に分割してしまう最大のデメリットは、話し合いの機会が減ってしまうことだと思いました。
一緒に工夫していく楽しみも失われ、長期的にはコミュニケーションが取りづらくなる可能性がある。逆に、一緒に家事をしながら話す時間が増えれば、暮らしの満足度は上がりそうです。
また、相手ができていないことを、「自分の担当じゃないから」と見ても見ぬふりをしようとして、逆にイライラしてしまうかもしれません。お互いにちょっと手伝い合えば、すんだかもしれないのに。
普段から家事育児の情報共有をできるように
いろいろと試行錯誤した結果、いまは、
タスクを明確に分けてしまうよりも、「主担当」「サブ」としておいて、どちらもでも対応できる体制をとりつつ、
普段から、仕事の状況や予定、心身の調子などを、共有しておくことが一番重要だと考えています。
そのためには、本連載のメインテーマである「可処分時間」に焦点を当てた家事育児分担が良策だと思っているのですが・・・
本題に入る前に、あと1回だけ、「家事育児分担のよくある3つ打ち手」について書きたいと思います。
ちなみに、夫婦が本音で話せる魔法のシート(内閣府 男女共同参画局が公表)を使って話し合ってみるのも、一案かもしれません。
“日々の家事や育児の項目を洗い出し、どのようにシェアし、お互いに支え合うのがよいのかを確認し合うためのコミュニケーションツール”とのことです。
vol.6 — 家事育児分担のよくある打ち手(3/3)は、こちらに掲載。
▼連載初回は、「共働き家事育児」の総論(まとめ)を図解しています。