「人生100年時代構想会議」でリンダ・グラットン氏が語ったこと

2017年9月11日(月)、総理大臣官邸にて「第1回 人生100年時代構想会議」が開催されました。2016年、ロンドンビジネススクール教授のリンダ・グラットン氏著『LIFE SHIFT』が発売されてから、人生100年時代という言葉がメディアで取りだたされることが多くなり注目して来ました。

この著書の内容をものすごく簡素に要約すると、

  • 平均寿命が100歳以上になる
  • 60歳で定年したあと、働かずに40年生きることが現実的ではない
  • 「教育」「仕事」「引退」3ステージの人生設計を改め、マルチステージの人生設計をしよう

「働き方や生き方を見直そう」と提唱する内容です。

私自身キャリアを考える際やご相談をお受けする際にも参考にしているのですが、政策の基盤として位置づけられたことは歓迎したいですね。

リンダ・グラットン氏による日本人の働き方改革への見解とは?

2017年は、団塊の世代が70代に突入したことを受けて、「働き方改革」の必要性が強調されています。

リンダ・グラットン氏によると、「2007年に生まれた日本人の寿命は107歳と予測されており、これは世界でもダントツのナンバーワン」とのこと。

日本は、世界のどこよりも先駆けて真剣に「長寿」と「働き方、生き方の見直し」に取り組む必要があるのです。

では、どのように見直せば良いのか?3つの解が示されました。(公開資料を元に執筆しています。)

①3ステージからマルチステージへの転換

具体的には、「教育」「仕事」「引退」の3ステージに加えて、4つの新しい選択肢を持つことが提案されました。

  • エクスプローラー(探検者)
  • インディペンデント・プロデューサー(組織に雇われない働き方)
  • ポートフォリオ・ワーカー(有給の仕事とさまざまな活動の組み合わせ)
  • 移行(各ステージ間の移行)

②家族と仕事との関わりの見直し

1960年代には「両親が結婚していて父親のみが働いている」という家庭が一般的でしたが、今は共働き世帯が一般化しつつあります。また、両親が離婚していたり事実婚であったりする割合も上昇。

性別に関わらず仕事に就くことは、従来よりも必要性が増しているのではないでしょうか。

一方で、男女の労働参加率の格差を見ると、日本は韓国・イタリアに次いでワースト3位。いま改めて「女性活躍」が叫ばれているのにも頷けます。

③学び続けること

長寿化によって年金受給開始年齢の引き上げや受給額の低下も考えられますし、テクノロジーの変化は雇用環境を激変させると予測されます。

また日本国内を見ると人口が現象する反面、人口が爆発的に増え続ける新興国では若者の労働力が海外へとどんどん流出することも視野に入れると、自らの市場価値を意識して「生涯学び続けること」が非常に重要です。

補足:機械に代替されない高付加価値の仕事をするために

テクノロジーの進化により、定型業務はどんどんロボットや機械に代替されると予測されている昨今。人間に求められるのは、「仮説を立てる」など頭を使った非定型業務と区分されています。

社交力問題解決力認知能力状況適応力を磨くことが大切です。具体的には、以下のような能力、スキルが示されました。

  • 人間関係を構築する能力
  • 他人に何かを教える能力
  • アクティブ・ラーニング
  • 創造性を発揮すること
  • アクティブ・リスニング
  • クリティカル・シンキング

「第1回人生100年時代構想会議」で総理は議論を踏まえて、「全ての人に開かれた大学教育の機会確保」「何歳になっても学び直せる環境の整備」「若い世代への公的支援の充実など全世代型社会保障への改革」「これらのための財源の確保」の必要性に言及したとのこと。

今後の日本政府の動きに期待する一方で、リンダ・グラットン氏からのメッセージは、個人的にも参考にしたい内容です。より豊かな働き方や生き方をイメージする上で非常に示唆に富んでいます。興味がある方は、ぜひ資料に目を通されることをおすすめします。

公開資料はこちら英文原文

(『LIFE SHIFT』のご紹介も記事にします。そのうち・・・)

 

人生 100 年時代構想会議 構成員(公開資料より引用)
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議 長 安倍晋三 内閣総理大臣
議長代理 茂木敏充 人づくり革命担当大臣
副 議 長 林 芳正 文部科学大臣
加藤勝信 厚生労働大臣
構 成 員 麻生太郎 副総理 兼 財務大臣
菅 義偉 内閣官房長官
野田聖子 女性活躍担当大臣
松山政司 一億総活躍担当大臣
世耕弘成 経済産業大臣
(有識者)
三上洋一郎 慶應義塾大学2年生、株式会社 GNEX 代表取締
役 CEO
米良はるか READYFOR 株式会社代表取締役 CEO
品川泰一 株式会社ユーキャン代表取締役社長
宮本恒靖 現ガンバ大阪U-23監督、元サッカー日本代
表主将
宮島香澄 日本テレビ報道局解説委員
神津里季生 日本労働組合総連合会会長
リンダ・グラットン 英国ロンドンビジネススクール教授
高橋 進 日本総合研究所理事長
樋口美雄 慶應義塾大学商学部教授
松尾清一 名古屋大学総長
鎌田 薫 早稲田大学総長
榊原定征 日本経済団体連合会会長
若宮正子 ゲームアプリ開発者
(有識者は年齢順)

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