育児と仕事の両立を不安に感じる理由とは

もうすぐ4月。子どもを預ける保育園も決まって復職が迫るこの時期、育児と仕事の両立に対する不安が膨らむ女性は多いのではないでしょうか。なぜ不安になってしまうのか、経験を振り返ってまとめてみました。

育児と仕事の両方が中途半端になるんじゃないか

育児だけでも大変。仕事だけでも大変。それなのに、育児と仕事を両立するなんて・・・両方、きちんとこなせないんじゃないか、結局は中途半端になってしまうんじゃないだろうか・・・・。

育児と仕事の両立に対する不安で多いのは、「完璧にできないかも」という焦りから来る不安ではないでしょうか。

「完璧を目指さなくていい」「ハードルは低く」とアドバイスされて気持ちが楽になる人もいれば、全く心に響かない人もいます。それどころか、完璧主義者である自分を責めてしまって、悪循環に陥るケースも・・・。

そんなときは、どこまでなら”中途半端"でも自分自身を許せるか、ボーダーラインを決めてみてはいかがでしょうか。

育児には正解がない、だから不安になる

とはいえ育児は、親なら誰でも手探り状態。子どもには一人ひとり個性がありますし、その子にとってのベストな育児なんて、親である自分自身にも完璧には分からないものです。

そんな正解のない育児ついて、「中途半端でも許せるボーダーライン」を決めるというのは、難易度の高い問題ですよね。

でも、「これだけは、子どものためにしてあげあい」「子どもとのこの約束だけは、絶対に守ってあげたい」という、親としての”こだわり”なら、持っているのではないでしょうか。

その中でも、絶対に毎日守りたいことなのか、週に1回でいいから継続したいことなのか・・・。

「親としてどうありたいか」を、そうやって少しずつでも具体化していくことができれば、きっと、「中途半端でも許せるボーダーライン」が見つかるはずです。

私は、子どもが0歳の時には、「離乳食は家で食べさせてあげたい」というこだわりがありました。保育園の先生方にもそれを説明してご理解いただき、数ヶ月間は離乳食は家で、保育園ではミルクを飲ませるだけ、という対応をしていただいたのですが、「他のお友達が離乳食を食べている間、ひとりで過ごしている」と聞いて、それは子どもにとって幸せな過ごし方ではないかも・・・と考えが変わって行きました。

初めて保育園で離乳食を食べることになった日、お食事の時間に自分も呼ばれて、「えっ?いいの!?」みたいな表情をしたそうです。0歳児なりに、思うところがあったのでしょう。

子どもの成長とともに、「親としてどうありたいか」もまた変化します。だからこそ育児に正解はなく、仕事との両立に不安がまとわりつくのでしょうね。「自分は親として、いまどうありたいかな?」と、自分自身の変化を見逃さないことも大切ですね。

仕事では期日までに成果が求められる

育児と仕事を両立する上で、「時短勤務」という働き方を選ぶママも多いと思います。けれども、この「時短勤務」が大きなプレッシャーになることは間違いないのではないでしょうか。

時短で働くということは、短い時間で生産性高く成果を出さなければならない、というプレッシャーもさることながら、「絶対に残業できない」という制約を課せられ、仕事に向かう毎日が心理的圧迫を伴うということ。

以前、新入社員の男性から「毎日、早く帰れて、子どもとの時間をエンジョイできていいなあ」と言われたことがあります。彼には悪気は全くなく、長時間労働を賞賛する企業文化を揶揄しての発言だということは分かっていたのですが、何度目かにそう言われた時、とても我慢ができなくなってしまって、「いいじゃない、仕事を終えられるまで思い切り働けて」と返答してしまいました。

彼はハッと気づいたようで、それ以来、「早く帰れていいですね」という発言は一切しなくなったのですが、同時に私も、「自由に残業できることが、本当に羨ましい」と思っていることに気がついたのです。

帰宅時間が決まっているということは、突発的な依頼、想定外のミス、自身のスキル不足による行き詰まり、体調に左右される生産性など、様々な要因を加味しその上で「成果」を出さなければならないという大きなプレッシャーを背負うということと同義です。

慣れてくれば意外と爽快なものですが、そこに「子どもの病気」で欠勤や早退などを余儀なくされて、チームの他のメンバーに迷惑が及ぶことになると、本当にいたたまれない気持ちになるものです。

けれども忘れないで欲しいことは、誰にだって病気はあるから余計に引け目に感じなくてもいいし、誰だって期日までに一定の成果を求められているのだから背負っている責任は同じ、ということ。

自分のスキルと自分に出せる成果を客観的に評価し、上手に周囲との期待値調整をしていくことが大切なのだと思います。それは育児と仕事の両立に限らず、ビジネスパーソンに共通して必要な観点ではないでしょうか。

育児と仕事を両立しているロールモデルの不在

育児と仕事を両立している女性の先輩って、周りにいますか?私は、「いない」とずっと思っていました。

育児をしながら働いている女性そのものが少ない場合もありますが、ロールモデルの不在は、得られるサポーターの数も種類も人それぞれだから、ではないでしょうか。

親と同居、あるいは近くに住んでいていつでもヘルプを頼める人と、実家が遠く離れていておいそれと声をかけられない人や、両親がすでに他界している人の場合、育児と仕事の両立における悩みの内容が全く違ってきます。

また、パートナーの働き方や価値観によっても、育児と仕事の両立における悩みの背景も内容も全く異なるでしょう。

「自分の子どもより年齢が上の子どもを育てている女性」というだけでは、ロールモデルにはなり得ないのです。そして、このことに気づいている男性経営者や人事担当者は、あまりにも少ないように思います。

私も以前は、「ロールモデルもいないし、相談できる相手もいない」と悩んだことがありましたが、今ではロールモデルなんて探さない方が不安が払拭されるのではないかと思っています。

自分なりの両立の仕方を模索していくことが大切です。そして、育児と仕事の両立についての苦悩や解決策をパートナーと話し合うことができたら最高ですね。

マミートラック、という問題

働く時間に制限ができることに配慮して、仕事の難易度を下げられたり、これまでとは違う部署に配属されたり、いわゆる「マミートラック」という問題がまだまだ多いようです。

組織としては好意もありつつ、制約のある社員に責任ある仕事を与えるのはリスクだという古臭い考えも根強く、育児と仕事の両立を図ろうとする女性が「キャリアの展望を描けなくなる」という問題です。

育児と仕事を両立する女性自身も、「残業ができなくて申し訳ない」「子どもの病気のために休みがちで迷惑をかけている」と自己評価が低く、結果として仕事にも積極的に手を挙げられない、好きじゃないし楽しいとも思えない仕事に甘んじてしまう・・・。

仕事そのものに対してポジティブな感情を得られなくなると、「子どもを預けてまでやる仕事なんだろうか?」「こんな仕事を続けるくらいなら、育児に専念した方が子どものためになるんじゃないか?」と、迷いが生じやすくなります。

もちろん、お子さんの状況やパートナーの仕事の状況、家族の健康状態など、多面的に考慮して、あるいは自分自身の希望として、育児と仕事の両立を辞めて育児に専念するという選択肢もアリです。

けれども、マミートラックが原因でモチベーションが下がり、その勢いで両立を諦めてしまうと、次にまた働こうという時に自己肯定感を上げられなくなってしまうのではないでしょうか。長期的に見て、キャリア開発上のネガティブな影響が大きいように思えるのです。

マミートラックに陥っているかもしれない、と思ったら、ポジションや役職、仕事内容についての希望を上司に伝えて、できる限りチャレンジすることをおすすめします。あるいは、柔軟な働き方が可能で自身の能力を活かして働ける職場への転職を検討するのも良いでしょう。

育児と仕事の両立を不安に感じる理由とは

育児と仕事の両立を不安に感じる理由は、たいていの場合が複合的です。たった一つの理由のために不安が高じるということはあまりなく、様々な理由が絡みあって不安が募ってしまうことがほとんど。

両立不安を解消していくためには、心に引っかかっている様々なトゲを一つずつ抜いて、育児においても仕事においても自分の理想的な在り方を描いてゆくことが大切なのではないでしょうか。

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