2019年7月13日〜22日の10日間、3か所への子連れ帰省を兼ねて、親子ワーケーションに挑戦してみました。5歳になる息子と2人で(夫実家は夫も同行)、仕事もしながら旅をして、「豊かさ」ファーストの過ごし方を体感できたなと思います。10日間を振り返り、親子ワーケーション満足度アップの秘訣やメリット・デメリットをまとめました。(初回掲載:2019年7月25日)
ワーケーションとは
ワーケーションとは、ワーク(仕事)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語。旅先や休暇中に仕事をする、テレワーク(リモートワーク)のひとつです。在宅勤務やサテライトオフィス勤務とは違い、「働く場所を制限されない」という点では、ワーケーションはモバイルワークの一種ともいえます。
ワーケーションは欧米発の造語ですが、日本では2017年にJALが導入して話題を呼びました。従業員が長期休暇の取得を断念しないための施策で、重要なミーティングがあっても、国内外リゾートへの旅行や帰省をキャンセルすることなく長期休暇を取りやすくなったそうです。
2019年には、「ワーケーション全国地自体協議会(通称:ワーケーション・アライアンス・ジャパン(WAJ)」が立ち上がるなど、広がりを見せています。(というのは、親子ワーケーションを終えたあとで、知ったのですが。笑)
親子ワーケション10日間の旅に出かけた背景
私が親子ワーケーションに挑戦したきっかけは、夫と私の実家がともに遠いこと。夫は長崎県、私は広島県で、子連れで移動しようと思うと半日がかりです。さらに、私の祖母は大分県の湯布院という盆地にある施設で暮らしています。
GWや盆暮れ、長期休暇のたびに、帰省やお見舞い。親孝行できることは嬉しいし楽しいのですが、かなりの時間・お金・労力がかかることは悩ましく思っていました。そこで今回は、長崎〜湯布院〜広島の3拠点を10日間で渡り歩き、一度にたくさんの親族に会うことにチャレンジ!
両家の親族たちとゆっくり会えて、息子氏も親族も楽しそうで、一度の旅でたくさんの笑顔を見られたことは本当に嬉しかったです。親の話をゆっくり聞けたのも、良かった。LINEやSkypeでつながっても、リアルに会ってお茶を飲みながらでないと、親の持病が悪化したなどの話題は、詳しく話してくれないので・・・。
そして何といっても、旅をしながら仕事もできたことで、気持ち的に救われました。私はいま、フリーランスとして働いているので、休む=売上ダウンに直結します。ワーケーションで一定の売上を確保しながら、帰省という「子としての役割」を果たす。これが普通にできるようになれば、将来的な介護などでも、キャリを諦めずにやって行けるのではないかなと感じました。
親子ワーケション10日間の旅程
さて、今回の旅程。3連休と土日を挟みつつ、半分は平日でした。結論からいうと、親子ワーケーションの10日間で、稼働は5日×3〜4時間。完了できたらベストと考えていた仕事の、約7割が終わりました。
スイッチングコストがかかることは想定内で、休暇終了後のリカバリ日を設けていたこともあり、まずまずの満足度です。
わが家では毎年、義母の誕生日の頃に夫実家へ帰省しています。夫が子どもの頃に家族や従兄弟たちと行ったという、海水浴&プールで遊べる、思い出の宿に1泊するのを私たちも楽しみにしています。
今年はそのイベントのあと夫が先に東京へ戻り、私と5歳の息子2人で湯布院〜広島を経由して戻ってくる、という計画でした。
7/12(金)夫・子どもが、先に長崎へ帰省。
(私はその間、茶道のお稽古や仕事をしました)
7/13(土)私も長崎へ。夫・子どもと合流、夫実家滞在。
(移動中は合計約4時間は仕事ができ、かなりはかどりました)
7/14(日)・15(月)義母と私たち家族で一緒に1泊旅行へ。
(旅行の間は仕事をしないと決めていたので、PCも置いて出かけました)
7/16(火)夫が先に東京へ帰る。
(義母のバースデーパーティを自宅で開いたあと、夫が東京へ発ったので、夕食とお風呂のあと子どもを寝かしつけ、夜に2時間ほどPC作業)
7/17(水)〜20(土)長崎から湯布院へ移動・ホテル滞在(3泊4日)祖母や叔父のお見舞いへ連日通いました。合間に、子どもと川遊びや足湯などして遊びました。
(夜は子どもと一緒に早め就寝して体力をキープ。仕事は、朝子どもが寝ている間、朝食までの2時間、入浴・夕食前に1時間、夕食後に子どもがLaQで遊んでいる間に30分〜1時間、合計4時間前後できました)
7/20(土)〜7/22(月)広島へ移動・実家に滞在 父母や姉夫婦と過ごし、子供は初めてのカブトムシ狩りに!近所へドライブに出かけて、非日常を満喫しました。
(実家のwifiに接続できなかったことだけが、盲点。なぜ・・・。思うように隙間時間を活用できず、子どもがトイザらスで両親と遊んでいる間の2時間だけ、集中してスタバで作業させてもらいました。)
親子ワーケションで、おすすめの「時間の使い方」
(1)朝早く起きて、朝ごはんまで
夜は子どもと一緒に寝て、体力を回復。子どもは旅の疲れもあって、ちょっとお寝坊でした。私は先に起き、朝ごはんができるまで約2時間、集中して仕事をできました。
もっと早起きすれば、3〜4時間できたのだけど、やめました。早く起きすぎると、子どもより先に私がお昼前後に眠たくなってしまうし、4時間も集中力をキープできないので、2時間くらいで切り上げたほうが効率が良いなと思いました。
(2)子どもがお昼寝をしたり、室内遊びをしている間
デイタイムでは、子どもが室内遊びをしている時間に、子どもの了承を得てPCを開きました。ポケモンにはまっている息子氏は、amazon primeでポケモンを観るのが日課であり楽しみ。30分〜1時間(だいたいアニメ1こか2こ)、視聴している時間は、私の仕事タイムにさせてもらいました。
あとは、LaQで遊んでいるあいだ。今回の親子ワーケーションで、私が一番頑張ったといっても過言ではないのは、2000ピースほど大量のLaQが入ったコンテナを、スーツケースに詰めて行ったこと!重たかった!!
でも、このLaQのおかげで、創作で夢中になっている息子氏の隣で、PCに向かって集中できたのですよ。ほんの30分でも、ありがたいことでした。
「家での室内遊びを旅先でもできた」ことは、子どもにとっても、長きに渡る旅でのストレス軽減に役立った様子でした。もちろん別々に集中したあとは、LaQで作ったロボットや飛行機で「ごっこ遊び」。一仕事終えているので、こちらも気持ちよくお付き合いできました(笑)。
ちなみに、今回は子どもはお昼寝ゼロ!まあ、昼間に寝ちゃうと、就寝が遅くなるので、昼寝なしで過ごしたほうがよかったのかも。5歳児、強くなったな!!
(3)子供が寝たあとでこっそりwiiカフェに
あまりやらないようにしていたのですが、子どもが寝たあとの時間も、仕事はできます。私は、夜中まで仕事をすると、絶対に体力が持たなくなって、子どもに八つ当たりしてしまいそう・・・と思い、寝かしつけのあとで作業したのは1回だけでしたが、緊急度の高い仕事や、「ここまで終わらせてスッキリしたい」という時には、活用できると思います。
親子ワーケーションで、生産性高く仕事をするポイント2つ
生産性を向上するため、意識すべきポイントは2つ。 (1)細切れ時間の活用 (2)スイッチングコスト
お風呂に入るまで、ご飯ができるまで、移動中だけ、飛行機を待っている間だけ・・・。生活や旅程に合わせて、細切れの時間を大切に使えば、1日3〜4時間の稼働は確保できるものです。
ワーケーションの場合は、家事時間が減る分、仕事に充てられる時間を持ちやすいです。買い物や料理、お風呂掃除、洗濯など、地味に時間取られるじゃないですか・・・。
ただ、目の前には大自然があったり、温泉に浸かったらのんびりしたくなったり、現地の人と話が弾んだり、誘惑も多々あります。
私は、「ワーケーションは、プライベート優先」と捉えて、割り切ったほうが、ストレスなく楽しめるなと感じました。そして、その方が、せっかくのリラックスタイムや出会いを満喫できるのかなと。
そのためには、どの業務をいつまでに、どういう段取りで進めるのか、計画しておくことが極めて重要。非日常から「仕事」という日常に戻るには、スイッチングコストがかかるからです。遊んだ後すぐに仕事モードになって集中できるよう、「スイッチングコストをいかに下げられるか」こそ、ワーケーション成功の秘訣なのではないでしょうか。
親子ワーケションにおける「スイッチングコスト」軽減のコツ
ワーケーションはそもそも、「長期休暇を取りやすくするために、休暇中に仕事もしていいよ」というものなので、主はバケーション。仕事はあくまで従なのです。
この前提に立てば、ワーケーション中に、なぜ、どんな仕事をするのか、自ずと決まってくるのではないでしょうか。
ワーケーションに仕事を持ち込む目的は、休むことによるデメリットの軽減です。最も緊急度の高いデメリットから並べてみて、どこまでやるのか予め選別すべき。最初から「あれもこれも」と欲張る方が、間違っていると思います。
私の場合は、最も緊急度の高いデメリットは「売上ダウン」でした。それ以外にも、インタビューが遅れるとか、企画提案ができないとか、仕事を休むことによるデメリットを挙げればキリがないのですが、たかだか10日遅れることが致命的かというと、全然リカバリが効く。
そういうタスクは、後回しでも大丈夫です。むしろプライベートで我慢していたことを実現してスッキリしてきたほうが、生産性が上がるはずだと思います。
じゃあ、ワーケーションに”連れて”行く仕事が決まったら、どうやってスイッチングコストを下げるか。それは、「作業工数を正しく見積もること」。この1点に尽きると考えます。
私の場合は、連れて行く仕事として、時給換算して相対的に効率がよく、他者との調整が不要で、業務遂行の段取りがすでに確立できているタスクを選びました。
具体的にいうと、SEO記事作成によるコンテンツマーケティング支援業務ですが、記事1本作成するまで、
(1)記事作成のための情報収集・インプット:0.5時間
(2)記事の構成作成:1.5時間
(3)執筆・納品:1時間
という風に、業務と工数を3段階に細分化して見積もっています。こうすることで、隙間時間を確保できたら、その時間内に終わる業務を当てはめていく、パズル形式で業務を遂行できるようになります。
今回、10日間におよぶ親子ワーケーション期間中、東京に戻った日だけちょっぴり深夜残業をしましたが、9万6,000円の売上を確保できました。たいした額ではないかもしれません。けれども、無給のバケーションだったら、きっと帰省やお見舞いを「面倒くさい」とストレスに感じて、後悔していたかもしれません。
遠くに住む年老いた親族と会える、人生で数えたらあと何回あるか分からない、貴重な機会。心から楽しむためにも、親子ワーケーションという選択をして正解だったと思います。
親子ワーケーションをまたやりたいと思う、たった1つの理由
親子ワーケーションをしてみて、いちばん良かったことは、「仕事ファーストの生活をリセットできた」ことです。
生活というか、「仕事ファーストの意識」かもしれません。
親子ワーケーションに出かける直前は、子どもと過ごしていても、何をしていても、「あの仕事ができていない」「もっと時間があったら、この仕事もできるのに」と気持ちが焦っていた気がします。
けれどもそんな風に、仕事に気持ちを振り回されて生きるばかりが、幸せじゃないよなっていう、実感を持つことができたのは大きな収穫です。
「仕事ファーストから、豊かさファーストへ。」意識をシフトできた。
その効果もあって(!?)、今日は初めて、夫とふたりで保育園へ個別参観に行ってきました!お化け屋敷を企画して、下のクラスの子達を驚かせている息子氏たちを見て、大きくなったなぁとホロリ(笑)。
子どもを持つということは、その後約20年に渡って、「育児と仕事の両立」という棄権できないマラソンに挑むということ。当然、業務やキャリアの局面によっては、仕事優先で過ごしたほうがよいときがあると思いますが、ずっとそれでは心身がつらくなるし、家族関係にも影を落とすでしょう。
親子ワーケーションを通じて、仕事中心ではない、けれども仕事もしている、ある意味「プライベート寄りの両立状態」を作り出せることこそ、人生にワーケーションを取り入れるべき価値なのだな、と感じました。
どっちつかずにならない、賢さが試される
そういうわけで、私はぜひまた親子ワーケーションを積極的にやってみたいと考えているのですが、ワーケーションは「どっちつかずにならない、賢さが試される」とも感じています。
私は今回、いまお任せいただいている仕事の中でも売上を積み上げやすい仕事を選びましたが、もっと他者とコミュニケーションを密接に取るべきポジションに立つこともあるだろうし、新規事業の構想を練るなどのクリエイティブな仕事を持って行きたくなることもあるだろうなと考えています。
どんな仕事を伴ってもよいのだけれど、大切なのは「成果」にコミットすることではないでしょうか。行動目標、達成目標いずれかの目標を持ち、ワーケーション期間中にその達成を本気で目指すこと。
そうでなければワーケーション期間中、いとも簡単に「あれも、これも」と仕事への欲が顔を出して、どっちつかずになってしまうからです。そうして自分の軸がぶれることで、元々の目標を達成できなくなり、一気に不安やストレスが高まるはず。
親子ワーケーションであれば、なおさらです。仕事の満足度が下がることで、ネガティブ・スピルオーバーに陥り、プライベートへの充実感は損なわれ、とりわけ同伴している子どもにイライラやストレスが向いてしまうでしょう。
長い子育て&仕事の両立生活、ずっとどっちつかずで暮らさないための起爆剤として、企業からもぜひワーケーションの活用を推進してみて欲しいと思います。プライベートの幸福度向上は、生産性や自律性向上に必要不可欠なのです。
(7月31日 追記)
親子ワーケーション期間を、改めて振り返ってみて。できるだけ、他者とのコミュニケーションが発生しない業務を選んだ分、戻ってからの反動が(笑)。
もう少し、オンラインを活用して、他者とやり取りして企画を練るなどの業務を進めてもよかったかもなと思います。
次回は、8月に会津若松へ家族で1週間滞在予定!留意して業務を設定してみます。