結婚や出産などのライフイベントや、プライベートと仕事の両立などキャリアを考え直す際に、自己理解は不可欠です。将来どうなりたい、どんな風に働きたいなどの願望だけではなく、保有スキル・生産性についても棚卸を行いましょう。それを他者にも説明できる状態を目指すことを、私は「圧倒的な自己理解」と捉えています。
「圧倒的な自己理解」に役立つフレームワークとは
以前、人生100年時代のキャリア戦略に役立つ「LIFE SHIFT(ライフシフト)」という本の要点を図解してご紹介しました。この本でも変身資産として重要視されているのが、十分な自己理解という観点です。
変化が大きく、働く期間が延びると予測されるいま、時代に合わせてキャリアプランをどんどん立て直して、変身・適応し続けていくことが求められます。
時代の波に飲み込まれず、自分自身が快適だと感じられる仕事や働き方を選び取っていくためには、常に自己理解を深めておくことが大切です。今日は、「圧倒的な自己理解」に役立つ2つのフレームワークを紹介したいと思います。
1. 「好き(没頭)」 ×「できる(得意)」=「強み」
強みとは何かを考えるとき、「好き」か「得意」かどちらかを選びなさい、と説いている記事を、ネットではよく見かけます。しかし、本当にそれは正しいのでしょうか?
私は、好きで没頭できることと、自分にできて自主的に学ぶことができて得意な方だなと感じられること、この両方を満たすことを「強み」と設定すべきだと考えています。
なぜか?それは、専門スキルを持っていても、どんどん「代替される時代」だからです。機械化、外国人就労の拡大、業務のアウトソーシングの拡大(フリーランスの増加)など、代替先は増え続けています。
こうした流れに飲み込まれず、自分らしく働ける仕事や就労環境を手に入れるためには、どの会社で働くか、どんな働き方をするか、といった方法論よりもまず、何を自分の強みとして売り出していくかを決めるべきではないでしょうか。
好きなこと、かつ自ら学び得意だと感じられること。これを自身の強みとして磨き続けていけば、そのスキル領域を「深化」させることができます。専門性に深みを持つことで、オリジナリティを発揮できるのです。
そして、好きで得意なことを極めていく方が、嫌いなことや苦手なことに耐えてやっていくより、圧倒的に成長スピードは速いはず。「強みを深化」させられるよう、努力し続けることで、自己理解もぐんぐん深まっていきます。
1/100 × 1/100 = 1/10000 という希少性
強みを深化させていけば、あるときその領域では「100人集まったら、このなかで自分が一番詳しいな」という段階が訪れます。そうした強みを2つ、3つ、と掛け合わせていくことで、希少性を高めることが可能になります。
私がパラレルワーカーとしてキャリアを築いてきた背景には、強みを深化させ希少性を高めるという戦略を取りたいという考えたあったのだと思います。希少性こそ、オリジナリティ。ビジネスや転職における条件交渉やポジショニングに不可欠な、自分らしさを手に入れられるのではないでしょうか。
2. なりたい姿に近づくための専門スキルの三階層
ビジネス経験を積めば積むほど、「強み」以外にも、たくさんのスキルを保有できます。「強み」を明確にできたら、改めて、なりたい姿を実現するために必要なスキルに対して、自分が保有する専門スキルは何か?不足しているスキルは何か?を可視化することをおすすめします。
なりたい姿、ありたい姿に対して、スキルを三階層に区分して、リストアップしていくというフレームワークです。
一番上位には「強み」。次に、強みではないけれどもビジネスにおいて武器になり得る保有スキル、専門性。そして一番下に、不足しているスキルを書いてみます。スキルにランク付けするイメージですね。
この三階層を可視化してみると、「強み」に格上げしたいスキル、苦手だけれど最低限身につけるべきスキル、外部にアウトソースして済ませた方がよいスキル、などが明確になります。
まとめ
自分が「本当に好きなこと」とは何か、人生を振り返って改めて確認するためのフレームワークもあります。また「なりたい姿」を、果たすべき役割のバランスから見つめ直すといった手法もあります。キャリアって多面的で、生きている間ずっと”完結”することはないのだと思います。
何に悩んでいるのか、によって、効き目のあるフレームワークは異なるので、個人個人に寄り添えるキャリア相談を、細く長く、やって行きたいなと心から思います。お悩みに役立つフレームワークやキャリア開発プログラムを、これからも形にしてブラッシュアップし続けたいです。
→→→家族のキャリア戦略とは何か? 家族で、お互いのキャリアを支え合いながら 長期的にキャリアを設計していくことの重要性についてまとめました。 ぜひ合わせてお読みください。